• TOP/
  • ボランティア・コミュニティの中での「仕事っぽくない仕事」
橋本和子さんと松原慧太朗さんと川平千紘さんと岡田実桜さんと瀬端こころさん

スタッフ×利用者座談会

ボランティア・コミュニティの中での
「仕事っぽくない仕事」

橋本さんの一人暮らしを30年間支えてきたボランティア・コミュニティに新しく導入されたパーソナルアシスタント(自薦ヘルパー/自立介助ヘルパー)―。
農村の古民家で、長い時間をともにしながら橋本さんの生き方・考え方を学び、その生活を支えます。
橋本さんを中心として形成されているボランティア・コミュニティの中で、
日々をいきいきと過ごすパーソナルアシスタントの「仕事でありながら、仕事っぽくない仕事」という声をお聞きください。

橋本和子さん

利用者橋本和子

採用メッセージ

橋本和子です。
重度の障害があるために、幼い時から21歳まで他人に管理された自由のない「施設」という箱で育ちました。そのため、子供のころから親の愛情は受けた記憶はなく、甘え方も知りません。事情があって、小学校4年から5年生の半ばまで一般の小学校に通いましたが、これをきっかけとして「障害のある人の仲間の中では生きていきたくない」と思い、今に至ります。
健常者の人と対等でありたいという思いで必死に社会の中に飛び込みました。しかし、それは身体的にあり得ないということを痛感しました。
でも、ともに暮らすということは変わらず続けてきて今があります。
30代後半から障害が重くなり、24時間全面的な生活の介助を受けなければ生きていくことが不可能になりました。そんな中で介助を受けながら、私がやってほしいことプラス相手が何を感じ取っているかを受け入れながら人間性を保っています。
ここに来てほしい人は、介助だけではなく、自然を愛し、食べることには化学調味料を使わない、あと野菜作りが好きな人です。猫の好きな人、大歓迎です。

Member

松原慧太朗さん

スタッフ松原慧太朗

ボランティアをきっかけに参加。大学では化学系の学科に所属。

2023年入社

川平千紘さん

スタッフ川平千紘

2年前からボランティアとして参加。(※4月から大学に進学し、自薦ヘルパーを卒業)

2023年入社

岡田実桜さん

スタッフ岡田実桜

ボランティアをきっかけに参加。大学で看護を専攻している。

2023年入社

瀬端こころさん

スタッフ瀬端こころ

4月から大学でマイノリティを包括する社会のあり方を学ぶ予定。

2023年入社

パーソナルアシスタントのいいところ

パーソナルアシスタントのいいところを教えてください。

橋本和子さん

利用者橋本和子

私は今、一人暮らしをしています。小さい時から親と離され、養護学校に21歳までいたんですね。小学4年生の時に1年半だけ、健常者と一緒に暮らしたいと思って一般の学校に通え、それがすごく嬉しかったんです。なので、養護学校から出るとき、一人暮らしをしていくという選択をしました。ここでは私がやりたいことを、ボランティアや自立介助ヘルパー(パーソナルアシスタント)の方々に手伝っていただいて、自分がしたいように生活できるという点でありがたいです。

松原慧太朗さん

スタッフ松原慧太朗

和子さんを中心としたボランティア・コミュニティに参加する中で、継続して一定以上の時間来られるメンバーが、自立介助ヘルパーになりました。ボランティアで参加していたときの空気感のままで仕事をしている感じです。農村の暮らしをゆっくりとした時間の中で学んでいける、素敵な仕事だと思います。

川平千紘さん

スタッフ川平千紘

誰でもそれぞれ自分の生活とかやり方があります。和子さんの場合、施設だとか普通の訪問介護では制約があって、自分がやりたいように生きていくことができなかった。私たちと暮らす中で、和子さん自身の生き方を満喫してもらえているんだと感じています。

岡田実桜さん

スタッフ岡田実桜

私は今、看護を専攻しています。利用者さんと一緒に過ごす中で、「その人がしたい生活を手助けすること」の実践ができていると感じています。実はそんなに難しいことじゃないし、今の自分でも「できることはある」と気づけました。

瀬端こころさん

スタッフ瀬端こころ

私たちの生きる社会にある障害が、障がい者を「障がい者らしく」しまっているのではないか、そんな風に感じています。生活をともにすることで、障がい者の主体性を守るお手伝いができる。それがパーソナルアシスタントの良さですね。

橋本和子さんと松原慧太朗さんと川平千紘さん

日常の想い

一緒に過ごす、暮らすって、
どんな感じですか?

橋本和子さん

利用者橋本和子

施設って、スケジュールが決まってますよね。ご飯食べて、レクリエーションやって、お風呂入って、夜寝てくださいっていうの。今、私は若い人たちと一緒に、起きたい時間に起きて、好きなものを食べて。そんな自由な生活。やりたいことをやりたいときに、やりたいようにやる。当たり前といえば当たり前。でもそれが、障がい者にとって当たり前じゃない。当たり前のことを当たり前に楽しめる今を、みんなで楽しんでます。

松原慧太朗さん

スタッフ松原慧太朗

平日の夜10時ぐらいに来て一緒にお酒飲んだりしてから、和子さんの寝る用意。寝てる間は、寝返り打ちたい時とかに呼んでくれるので、手伝いをしたりという感じですね。朝ごはん作るぐらいまで、本当に一緒に「生活」しています。

川平千紘さん

スタッフ川平千紘

私は土日に入ることが結構多く、土日の時間があるときにしかできないお掃除とか洗濯とかやって、夜は食事とお酒のお付き合い。1日のスケジュールが厳密に決まっているわけじゃなく、和子さんが起きたいときに起きてという生活をともにしています。

岡田実桜さん

スタッフ岡田実桜

車が使える時は、みんなで一緒に買い物に出かけたりすることが多いです。家では、髪をとかしたりとか爪を切ったりとか。決まった業務はなくて、和子さんが「やってほしい」って言われたものに対応していく感じですね。

瀬端こころさん

スタッフ瀬端こころ

彼女の手足の延長になって、私たちの手が動くっていう感覚なんですよ。和子さんが鼻かみたいって言ったら、ティッシュをサッと取って一緒にかむとか。その時々に起こる彼女の欲求を、一緒にやっていく感じが大きいかなと思いますね。

岡田実桜さんと瀬端こころさん

笑顔で過ごせる瞬間

今まで一番楽しかった時は
どんな時ですか?

橋本和子さん

利用者橋本和子

いろんな方がここに来てくれると、いろんなことを共有できますよね。例えば、親が残してくれた畑を、ボランティアの農学部の学生が「一緒にやろうよ」って言ってくれたのが、今となってはとてもありがたかったことです。そこで作った野菜を取ってきて、おいしいというものをみんなで味わってもらったり。それが、私自身も楽しいということにつながる。喜びも悲しみも共有できる、そんな関係性ですね。

松原慧太朗さん

スタッフ松原慧太朗

ここでの生活の場合、和子さんと一緒に食事をするので、畑でとれた有機野菜が甘いんだとか、手作り味噌や自家製の野沢菜漬けが美味しいんだみたいなことなど、自分は都会育ちなので、これまで知らなかった、農村生活の良さを教えてもらっている感じです。

川平千紘さん

スタッフ川平千紘

私は建築の仕事に進みたい願望があります。人の生活の営み一つ一つに対する細やかな目線や、この社会で生きていくということはどういうことなのかというかという視点で、いろんなアプローチがあることを知ることができて楽しかったですね。

岡田実桜さん

スタッフ岡田実桜

私自身、和子さんからたくさんの幸せをもらえているし、お互いのために過ごすことで、どちらにとっても幸せな空間ができているのを強く感じています。知識としてだけじゃなくて、ヘルパーとしての喜びを体感できる場所だと思います。

瀬端こころさん

スタッフ瀬端こころ

「障がい者らしく」ではなく、「和子さんらしく」生きること。人間の在り方であったり、暮らしの在り方というのは和子さんから学べるものが多いし、自分でもすごく考える機会が増えました。そんな日々を愛しく感じながら過ごしています。

橋本和子さんと松原慧太朗さんと川平千紘さんと岡田実桜さんと瀬端こころさん

お互いが豊かに

お互いの意見や希望を
尊重しながら協力している
場面はありますか?

橋本和子さん

利用者橋本和子

(ボランティアの)学生と付き合った時間が長くて、その時は本当にそこら辺を学生を連れて出かけまくっていました(笑)。学生の中にどんどん入っていっていろんなことをしゃべっていたので、おかげさまで、今でも感覚が若いと言っていただくことも多いです(笑)。これからも若い人との時間を大事にしたいですし、お互いに言いたいこと、思っていることを包み隠さないようにしていますね。

松原慧太朗さん

スタッフ松原慧太朗

「遠方にみんなで遊びに行こう」みたいなときに、和子さんにとって車椅子は移動手段でしかなくて。車は助手席だし、お店でもみんなと一緒の椅子に座り直します。でも場所によっては障がい者の席が決められていたりする。「障がい者には、みんな同じ対応をすればよい」ではないことに、気付かされますね。

川平千紘さん

スタッフ川平千紘

私たちは無意識のうちに、「障がい者」という括りの中で考えて、「こうすれば良いだろう」と対応してしまいがちです。でもそうではなくて、「和子さん自身がどう動きたいか」を伝えてもらって、それをお互いに擦り合わせていくようにしています。

岡田実桜さん

スタッフ岡田実桜

障がいや健常に関わらず、自分らしく生きることを実現していくことだけでもすごいことだし、強く生きるってことなんだなって思う場面が多いです。私たちも同じ一人の人間として、お互いにこの場所を作っている感覚を持っています。

瀬端こころさん

スタッフ瀬端こころ

和子さんは障がい者ではあるけれども、いわゆる障がい者としての暮らしはしていません。こうやって自薦のヘルパーの仕組みを使って、自分の主体性を守るための一人暮らしを実現できていることこそ、私たちは尊重すべきだと思ってます。

橋本和子さんと松原慧太朗さんと川平千紘さんと岡田実桜さんと瀬端こころさん

一緒に過ごしたい方

このお仕事に向いているのは
どんな人だと思いますか?

橋本和子さん

利用者橋本和子

私の命はお酒です(笑)。だから、一緒にお酒を楽しめる人。ほかには、畑を一緒にできたりとか、カッコいい車に乗ってたりする人(笑)。あと大事なのは、私の喋ることは聞き取りにくいかもしれませんが、これに適当に返事されるとお互いに困ってしまうので、ちゃんと分かるまで聞き返してくれる人がありがたいです。いろいろ言いましたが、難しく考えず、一緒に遊びに行きたいですね。

松原慧太朗さん

スタッフ松原慧太朗

ここは今まで見たことのなかったようなものがたくさん詰まっている空間。利用者さんとの相性も大きいですが、人にしても物にしても、いろんな出会いを面白がれる人だったら、単なる仕事以上に楽しいものになるかなと思います。

川平千紘さん

スタッフ川平千紘

ここでの経験を「全てが楽しくて素晴らしいこと」と美化するつもりはありません。意見の衝突があったり、自分たちで生活を築いていくことの辛さもあります。そうした中で、価値観が少しずつ変わっていくのを楽しめる方が良いと思います。

岡田実桜さん

スタッフ岡田実桜

「ちょっとこれはしんどいな」ということがあれば、利用者さんや仲間に言えたり、自分を大事にできる人がいいかなと思いますね。専門的な知識とかは無くても構わないので、自分で壁を作らなければ大丈夫というのを伝えたいです。

瀬端こころさん

スタッフ瀬端こころ

先入観や偏見がガチガチの人は、難しいかな。和子さんのこだわりの生活そのものを、人間が持つ当たり前の好みっていう認識を持って一緒に楽しめる感性とかは、やっぱり大事だなと思います。仕事だけど、仕事っぽくない仕事ですね。

毎日に彩りを

~「共に生きる介護」を目指して~

同意する

このウェブサイトではサイトの利便性の向上を目的にクッキーを使用します。ブラウザの設定によりクッキーの機能を変更することもできます。詳細はクッキーポリシーについてをご覧ください。サイトを閲覧いただく際には、クッキーの使用に同意いただく必要があります。